女嫌い

 今朝、バスの中で一組の男女が軽く口論しているのを聞いていた。一方はOnePieceのTシャツ着用のイケメン男子、もう一方はいかにも遊んでそうな茶髪の女である。リア充カップルの痴話喧嘩かと思い、さっさとこの二人の存在を意識外に弾きだそうとしていたところだったが、何やらアニメだの萌えだのいう単語が聞こえてくる。この二人には明らかに不似合いな議題に少々興味をひかれて、感心できたことではないが少し聞き耳を立ててみた。

男「だからさ、アニメとはいえ内容はすごく良くて面白いのもあるんだって!」
女「はー?アニメとか見てる時点でオタクじゃん?」
男「確かに萌えアニメとか目が異様にでかくて気持ち悪いけど、そういうものでも見もしないでダメとかいうのっておかしいと思うんだよね。」
女「そもそもそういう絵の時点で興味持てないし。キモくね?」
男「いや、絵とかじゃなくて話の内容とかが面白いっていう…」
女「それってオタクの言い訳でしょ?」
男「…いや、俺オタクじゃねーし。」

 この議論を傍で聞いていた僕は今すぐこのDQN女を殴り倒し男を抱きしめたい衝動に駆られた。アニメの話題という事で少々肩入れしているのを別にしても、どう考えたって男の方が筋が通っている。一方女はといえば終始自分の感情論しか話さない。自分の表層的な感情だけでしか物事を量れない、俗な言い方をすれば自己中心的。はっきりと言ってしまえば人間として浅はかなのである。

 だがしかし男は強気な態度をとれず、結局それ以上言い返すことはできなかったようである。大人しく別の話題に転換した。きっとあの色黒で馬面の彼女を失いたくなかったのだろう。見上げたやつだと思った。オタク文化に理解を持っていながらも社会においてはリア充であり、彼女に対しても謙虚さを失わない。やたらと自分の趣味、価値観に拘るオタクと違って周りが見えているのだろう。DQNかと思っていたがやはり人は見た目だけで判断できないようだ。

 だが…この女の厚顔無恥には憤りを禁じ得ない。男の腕にぶら下がって歩くこの馬面には自分の彼氏の高尚さなんか分かっちゃいないだろう。どうにもこの「女」という生き物の卑しさを改めて目の当たりにした気がする。

 勘違いしないで欲しいが、決して女性皆がこの馬鹿女のようだと言っているわけではない。それなら僕だってアイツとそう変わらない。僕の友人の女子は皆聡明で思慮深い。そうでなくたって僕は常日頃から女性全般に対して敬意を抱いている。やっぱり女にはかなわないな、と思うことも多々ある。故に僕は女性と話すときは自然と敬語になってしまうのだ。

 だがそうは言っても浅慮な女は多い。彼女らは架空の少女に萌え萌え言ってる馬鹿オタク共を声高にキモい罵るけれど(別段この意見自体に異論はないが)彼女たちだって同種の幻想を餓鬼の頃から堅持しているように見える。すなわちイケメンで勉強なりスポーツなりで優秀で羽振りもよい好人物が自分だけを専一に愛してくれるという幻想だ。まあここまで完璧な人物ばかりに憧れている訳でもなかろうが、とりあえず自分を無条件に愛してくれるムシのいい男がいるという妄想を有史以来信じている時点でどうかしている。

 異論が出るのは必至だが…もうはっきりと言ってしまおうではないか。男にとっての愛の終着点は所詮性交なのだ。それ以上の何物でもない。現に僕は性欲さえなければ女の大半を嫌いになるんじゃないかとさえ思っている。彼女たちの無知、その一点で嫌悪に値する。どうせあの馬面女だって今は乙女な妄想に浸っているだろうが、そのうちに生活に染まりきって果ては豚のように子供を産み増やすだけの存在になり下がるだろう。そしてもちろんその生活に不満を抱えながらも畢竟これが家庭の幸せね、なんてところでその生涯を没するのである。

 僕は言いたい。愛する方にも愛される方にもその資格と言うべきものが存在する。別に美形やエリートや金持ちしか愛を持つに足らないという訳ではない。要は精神の高尚さ、とでもいうべきものが十分に発達する前に性欲に駆られて結婚なんて軽はずみな真似をするべきではない。だが男はまだ健気だ。いつの世も男は女を手に入れんと富、権力、名声を求めたり、見目麗しく整えたりせめて心だけでもと優しくあろうと心がけたりする。そうした血を吐くような苦心の末に手に入れたのがあの色黒の馬女だった日にはきっと世を儚むことになるだろう。男女共々に言いたい。われら人類はそろそろ生み増やすのではなく、産み高めていく必要があるのではないか?男性主権の時代は終わった。女は身分だけでなく精神的な面でも卑しいところに身を置いているわけにはいかない。その果てにある精神と精神の交歓。これこそが真の愛の形ではないか。

 ということを考えながらバスを降りたら目の前に腰を革のベルトで絞った服装の女の子が歩いていて、それがとっても可愛かったから所詮女の前では哲学も思想もカス同然だな、と思うのであった。

結論:我々男子にとって女とは人生の全てである。すなわち諸悪の根源である。