美樹さやかの日記帳

○月○日
 ―今日も恭介の病室へお見舞いに行った。手を怪我してバイオリンが弾けなくなってからというもの、何だかいつも寂しそうに見える。生き甲斐がなくなっちゃんたんだもの…当然だよね。少しでも長く傍にいてあげたくて、何かと余計なお節介まで焼いちゃったな。恭介…、前みたいな笑顔に戻って欲しいな。

○月×日
 ―恭介が日に日に落ち込んでいるように見える。アイツから音楽を取っちゃったら何も残らないもんね…。無理とは分かっているけど、もう一度アイツのバイオリンを皆に聴かせてあげたいな。
 今日はCD屋さんでアイツが欲しがっていたCDを見つけた。音楽を聞いているときの恭介は本当に嬉しそうな顔をするなぁ。少しでも元気付けてあげなくちゃ。明日またお見舞いに行こう。

△月○日
 ―………色々悩んだけど、やっぱり私恭介の為に願いを使うことにした。もうこれ以上アイツの沈んだ顔見ていられないしね。これでアイツもまた前みたいに笑ってくれるよね?恭介、私がした事はきっと一生知ることないだろうし、知る必要も無いけど…。

△月×日
 ―手は治ってもリハビリにもう少し時間がかかるみたい。恭介、バイオリンが弾けるようになって毎日生き生きしてるみたい。やっぱりアイツは私が面倒みてあげないと駄目なんだよね!腐れ縁だし仕方ないかぁ。この街を守る魔法少女なんて大役も任されちゃったけど、友達を守ってあげる為だし頑張り甲斐もあるってもんよねー!魔法少女さやかちゃんのお陰でみんなの笑顔が守られてるって思えば辛い運命もなんのその、マミさんみたいなカッコイイ人になりたいな♪
 ………恭介、私の気持ちに気付いてくれてるかな?ううん、だって私は…。

□月△日の前日
 ―最近恭介に避けられているような気がする…。何か理由があるのかな?それとも…。一体何で?私はアイツを助ける為にこんな過酷で救いの無い運命を受け入れたっていうのに。
 ―恭介も、まどかもあの転校生も皆気にいらない。皆私がどれだけ苦しんでいるかなんて何も知らない癖に…。私のお陰でこの街は守られているっていうのに誰もそんな事知らずにのうのうと暮らしている。こんなに辛くて挫けそうなのに誰も分かってくれない。………恭介。

(日付未記入)
 ―裏切られた。裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた裏切られた。毎日お見舞いに行ってあげて服の着替えを手伝ってあげたり話し相手になってあげたりCDを持って行ってあげたり落ち込んでいるときは慰めてあげたり挙句魔法少女にまでなって左手を治してあげてバイオリンを弾けるようにしてあげたのに恭介は仁美を選んだ。天才バイオリニストとして立ち直った途端にあの泥棒猫は(乱筆甚だし。読解極めて困難。)

 …もう何の為に魔法少女になったのか分からないよ。(以下空白のページのみ)


(ページが所々破り散らされている。辺りに散乱した紙片には端々に「好」や「愛」といった文字が読み取れる。)